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前回のつづきでございます。
水路が無事開通して水を張った田んぼは、そのあと「代掻き」という作業をします。これは(現代では)トラクターで水の張った土をかき混ぜて細かくして泥の層を作る作業です。同時に、泥の表面をでこぼこにならないように平らにならすことも重要です。
平らであることがどれだけ重要であるかは、これ、米作りをやってみないとわからないことなんですが、まずは田植えのとときに植えた苗が、水が深いところでは水没して死んでしまいます。逆に水面より高く出てしまってる部分は干上がってしまい、土が硬くなり、雑草がはびこってしまいます。苗が小さいうちはつまり、苗の先のほうが水面より顔を出すようにしてあげないと呼吸ができないので、その水位調整がとてもシビアになります。そして、この水量というのは、できるだけ少ない方がいいのです。というのは、稲はもともと東南アジアの暑い気候で育つものなので、とくにこの標高の高く涼しい夏の気候で育てるには水温をあげてやらなくてはなりません。日中太陽の熱で水は温められる訳ですが、当然水量が少ないほうが早く温度があがります。田んぼの土がでこぼこだと、それだけたくさん水を張らなくてはならないのでうまくない訳です。ですが、たとえば同じ熊本でも海に近いところなんかでは夏はもう酷暑になるので、逆に水温があがりすぎてしまうために、冷たい水をかけ流して田んぼを冷やすなんていうこともあるそうです。その点ではやはり高地でつくる米作りのほうがいろいろと難しい点はあるようです。

私が米作りチームのボスから借りて使わせてもらっているトラクターはISEKIのTS1610。

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排気量1000ccで16馬力。4WDはたんぼ作業ではとても心強い。だけど年代もので、ロータリーにはモンローがついてません。このモンローは正式には自動水平調整機構といって、車体が傾いてもロータリーを水平に保ってくれるらしいものです。これがあるとたんぼを平らにするのはかなり楽。でもクラシックなこのTS1610でも十分いい仕事はしてくれます。どうしても平らに仕切れないところは、最後は人の手で仕上げます。

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手作りの大きいコテみたいなもの。高校の部活でグラウンドをならすのに使ってたのと同じもので、そのときは「トンボ」と呼んでました。農業ではあんまり「トンボ」って言わないみたいですけど。

そしていよいよ田植えの日となります。

自分たちで作った今年の苗はこんな感じ。

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品種は「あきげしき」。九州中部が産地だそうです。ここらへんの山間部でも近年はこれが一番人気の品種です。種もみ用のを購入してきました。土は山の土。でも腐葉土でなく養分が少なかったみたいで苗の太り方がいまいち。

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丈ももうちょっと。全体に成長不足でした。色味は悪くないんだけど、これも勉強。来年は堆肥を混ぜ込んだ栄養たっぷりの床土を作っていい苗を作ろう!

全部で3枚あるたんぼは大きいほうから(推定)6畝、5畝、2畝。今年はボスが田植え機も手に入れたので大きいところの2枚はその田植機を使います。昨年も田植え機を使ったんですが、そのときはよく見る余裕もなく慌てて作業に追われてました。今年は使う前に各所に油をさしながらどうやって手のかわりに苗を植え付けるのかよく観察すると、まあよくできてます。まるでロボットハンドですね。こういう農業機械っていうのは基本的に人が手作業でやってたことを機械が代わりにやってくれるので、その動きはロボット的でとても面白い。

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この田植え機を使うとまああっという間に終わっちゃうんですね。機械ばかりに頼った生活は目指す方向ではないので、もちろん手植えもいたします。自分の命を支えるその命を育てるっていうことなんですね。こうやって苗ひとつひとつ時間をかけて植えつけていってはじめてそれを感じることになるんですよね。そう思ってもう7回目の田植えをこうして家族でやってます。

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田植えから1週間が経つと植えた苗の根が張り、土をつかんで簡単には抜けなくなります。その時期を待って早くも除草作業の1回目をおこないます。昨年大成功だったチェーン除草です。

ホームセンターにも売っている足場用のチェーン(4m)を使ってこんなふうに板にぶら下げます。

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それをたんぼの中に入って引きずり歩きます。

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植えた苗が心配ですけど、なぎ倒されてもしっかり起き上がります。根付いているので抜けません。泥の表面はチェーンで引っ掻かれて発芽しかけた雑草の種が浮き上がります。この時期はほとんど目にみえないので、あんまり「やった感じ」がしない除草作業なんですが、これを3回繰り返すと、夏の雑草が生い茂る時期でもほとんど草が見当たらないという状況に歓喜します。「草は出る前にとれ」ということです。私とこども2人でやったら30分もかかりませんでした。除草剤不使用はこれで簡単に達成です。

これからは鹿とイノシシにお米を食べられないように策を練ります。すでに鹿はたんぼの中を散歩しながら苗をつまみ食いしてます。人と動物が共生できる地球を長い目で作りながらも今年のお米は確保しなくてはいけませんからね。

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