mobile house

 「モバイルハウス」まったく素敵なネーミングです。
熊本に異色の建築家、坂口恭平さんがいます。お金をかけないで暮らす家、土地を所有しないで住む発想。そんな自由な生活を具現化したのがこのモバイルハウス。コンパネで作った3畳の簡単な家にリヤカーの車輪をつけたそれは建築法上では「家」ではないんです。だから、どこへでも置いて生活できてしまう。

 田んぼの準備で大忙しの今月、もうひとつ大きな仕事がこのモバイルハウスの建築お手伝いでした。施主は2年前にウーファーとしてメリーモントにやってきたk。震災後に露呈したウソだらけの日本政府と、それに管理された社会システムに辟易した彼女は、4度目の訪問でついに新生活のベース建築に着手。放射能も気になる関東を脱出して、ここ阿蘇で生活エネルギーを自給しながら夢の独立国を築いていくのです。といっても、家作りに関してはご素人さんでありますから、設計から施行までほとんど私の主導。田んぼと建築現場を行ったり来たりで、大忙しでありました。

 坂口さんの提案するモバイルハウスは誰でもお金をかけずに簡単につくれちゃうというフレコミ。そのアイデアをベースにして、彼女のために設計した仕様では、厳しい阿蘇の冬でも耐えられるような断熱仕様のハイスペックタイプであります。広さも1.5倍の4畳半。断熱材などは我が家で使用しているのとおんなじ羊毛でありますし、内壁は無垢材を使ったりしているので、かかるコストはどんどんふくれあがり、その日暮らしの彼女にとっては相当な出費のはず。バイトで稼いだお金のほぼすべてをこの家づくりと往復の飛行機代に費やしながら、それでも夢にまっしぐらな彼女から笑顔が消えることはありませんでした。

 今回のこの建築のお手伝い。彼女の夢のお手伝いでもありますけど、実はこうしてお手伝いさしあげることこそが私の夢でもありました。
 まだ完成せぬ自宅を作り始めたきっかけのひとつ。その理由はやはり坂口さんと共通するところも大いにありまして、あまりにも高いマイホームを手に入れるために人生の多くの時間をローン返済に費やす。ローン返済を大いに楽しめる人ならそれはご勝手にどうぞと言えるんですが、まあ、ほとんどの方はそうではないでしょう。所以、人生の大半を「お金を稼ぐ」という目的に終始することになりますね。長いながい時間を当たり前のようにその目的に費やしていると、どうしたって自分の行動基準が(金銭的)損得勘定で動くようになっちゃいます。それが怖い。だから私は、その気になればマイホームだって作れちゃう、もっと自由に生きられるんだよ、っていうメッセージを世に送りたくて自宅建築を始めたという想いもあるんですね。

 そんな私の想いを受けてくれた第一号がこの彼女、という訳なんです。「人生楽しんだもん勝ちだよ」と豪語する彼女。その言葉をこれだけ地で行っている人は滅多におりません。こうした人に巡り会えて、夢を共有できるというのもまた最高にハッピーなことです。

 このモバイルハウス、今回はあともう少しというところで完成まではこぎつけられなかったので、次回に彼女がくるときまでto be continuedということになりましたが、阿蘇の草原をバックにそびえ立った、ちっちゃいながらもおっきな夢が詰まったこのハウスに大大満足な彼女でした。
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