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chimney setting

ひと月以上の長期滞在になったエイドリアンくんのウーフ期間がもうすぐおわります。
彼の滞在中はほとんどが雨の日でした。
その中でこつこつと進めてくれた外部煙突の製作。

溶接の腕は一級で、そのフレームは完璧な仕上がり。
まだ梅雨の明けきらないなか、雨の切れ間をみてそれを屋根の上にようやく設置しました。

煙突は2本。

ひとつはキッチンで使う調理用ストーブから出る煙突。
そのストーブはまだ手元にありませんが、すでに買約してあります。
チリ製のストーブで、わたしにログビルディングを教えてくれたエルカンポの倉庫に眠っています。
これからはエネルギーマイレージが高いLPGガスなどよりも、身近で調達可能、持続可能でしかもタダ、山に行けばいくらでも手にはいる小枝や残材でおいしいお料理ができるようになります。

もうひとつは、家の暖房用ストーブの煙突。
これは、今現在も借家で使っているヨツールのF3をそのまま新しいリビングルームで使います。
F3は比較的小型なのでこの家の暖房にはちょっと役不足かもしれませんが、とりあえず設置して使ってみます。
出力の小さいストーブでもしっかり暖かい家にするために断熱・蓄熱性の高い家を目指します。そのほうが薪の消費量が少なくてすみますから。これ、エコというよりも薪の調達にかかる仕事を少しでも減らしたいですからね。

その2本分の外部煙突の設置をどうにか終えることができました。

しかし煙突の施工というのは結構な頭脳ワークです。
ストーブ業者さんならその知識と経験のストックがあるのでなんてことはないかもしれません。
でもこちらは素人ですから、ひとつひとつが考えながらの作業です。

この煙突フレームは傾斜のある屋根にフィットするように設計してあります。
しかし1本目の煙突を施工したときに、中の煙突本体のパイプと屋根の穴の位置が合わず、そのままではパイプがまっすぐにならず、予定した位置からストーブがずれてしまいます。

いろいろとチェックしたら、どうも屋根の角度と煙突フレームの角度が違うようです。
屋根の角度は実際に角度計を使って測ったはずなのに・・・。
でも考えてみると、測った場所は煙突を設置してあるその場所ではなく、屋根の裾でした。
丸太で組んだ家の構造ですから、微妙なゆがみがあるんですね。
まっすぐに見える屋根でもその角度は場所によって違っていることに気づかなくてはなりませんでした。

自然素材を使った建築の場合、できあがるものは計算による設計どおりにいかないことはセオリーです。
「現物あわせ」というやり方で実際の寸法なり角度なりをはかりながらそこにフィットするように目の前のものを作っていくのが基本です。その基本を徹底できてませんでした。

その轍(てつ)をふんで、2本目の設置はしごくスムースでした。
1本目にはうまくいかずにちょっと気まずい空気となってしまったわたしとエイドリアンくん。
しかし、しっかりとその原因を考えて、その対策を話し合ったことが正解でした。
エイドリアンくんの考えもしっかり聞いて、設置プランをたて、役割分担をきめ、そして重い煙突フレームをふたりがかりで屋根の上まで引き上げ、屋根の上と下にわかれてボルトオン完了。

2本目の煙突はまっすぐと床に向かって立ってくれました。

次の冬にはこの煙突の中を気持ちよく煙がたちのぼり、ストーブの中にぐいぐいと新鮮な空気をすいこんでくれるでしょう。薪生活の質を高めるための要がまたひとつできあがりました。

エイドリアンくんは1ヶ月をかけたこのしごとの終わりに、ほくそ笑みながら自分の足跡をのこしました。
「100年後にもしこの煙突が解体されたとき、作った俺の名前をかれらは見るんだよ。このエイドリアンってやついい仕事してるなって。でも半年後にこれが崩れちゃったら不名誉の証になっちゃうね。(それはありませんっ!)」

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2012.07.18 雨ニモマケズ
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いつも行き慣れた風景が一変していました。

九州を襲った豪雨のピークが過ぎた先週末、山を下ってみました。

いつも通る峠の道は大きな土砂崩れで通行止めなので、別のルートで町に下りました。

同じ町内で一番被害が大きかったところが上色見という地区です。
そこには昨年、東日本大震災の被災者支援キャンプをした、フォークスクールがあります。
そして仲のいい友人もたくさん住んでいます。

様子を聞きに電話をしたそのうちのひとりの友人宅は、からくも直接の被害をまぬがれましたが、土砂災害がおきてからずうっと近所のおうちの救援活動に明け暮れていました。

高森町には、阿蘇五岳のひとつであり、町のシンボルにもなっている根子岳(ねこだけ)があります。
その山が大きく地すべりをおこし、生えていた木もろとも一気に麓の集落に流れこみました。

ウーファーさんのエイドリアン君とともにシャベルをもってそこを訪れると、集落の中心を流れる川にかかる橋の脇にはうずたかく丸太が積みあがっていました。橋の上から上流を見ると、見える限りずっと丸太の山でした。そしてすぐ隣の家を見ると、その丸太の高さまで土石流が押し寄せていたことがわかります。

想像以上にシビアな事態でした。

そして、その橋を通って親しみのあるフォークスクールまで行くと、そこの前の道はガードレールがぐにゃりと曲がり、アスファルトもめくれ上がって、水が轟々と流れていました。

どうやら土石流は川だけでなく、山から続くこの道にも沿って流れこんできたようです。

すでに自衛隊が作業に入り、行方不明者の捜索をおこなっていました。
土木業者は総出で道路にたまった土砂の撤去作業をおこなっています。

床上、床下の浸水被害のあった民家は、個人の手に復旧作業が委ねられています。
友人の案内で被災宅に行くと、すでに近所に住むたくさんの方が作業をなさっていました。

ここは床下の浸水でした。水はすでに引いており、残った床下の泥をかきだす作業をしていました。
床板をはがし、その下の根太を切り取り、シャベルをもって泥の上に降りると、長靴がほとんどすっぽり埋まってしまうくらいの深さの泥です。

ここの土は阿蘇の火山灰土なので、粒子が非常に細かく、水を含むとノロと呼ばれるようなずっしり重いペースト状になります。それが大量に床下に入り込んでしまっている状態でした。

とにかく少しずつシャベルでかき出し、一輪車で外へ運び、それを延々と続けました。

こう書いてくると、さぞ現場は凄惨な状況であろうと思われますが、
実際は不思議なほど活気がありました。

この方が家主さん?と疑ってしまったほど、当の本人さんはにこやかな笑顔。
そこに集まったご近所さんも総じて冗談をとばしあったり、どうやらいつもの雰囲気なようです。
お茶の時間にはおいしく冷たいお茶とお菓子をご馳走になりながら談笑の一服。

これが地域力なんですね。

いざというときに頼んでいなくても自然と人が集まって助け合う。
それが普通。
あの人が大変なときには行って汗を流し、こちらが大変ならばこちらに集まり。

なんだか宮沢賢治のことばを思い出しました。

普段やっぱり自分のことをまず勘定にいれていろんなことを考えてしまってるなあ、と自戒。
泥だらけになった体と反対に心の中はなんだかちょっと洗われた気がいたしました。



雨にも負けず
「雨ニモマケズ」

雨にも負けず

風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ

丈夫なからだをもち

慾はなく

決して怒らず

いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と

味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを

自分を勘定に入れずに

よく見聞きし分かり

そして忘れず

野原の松の林の陰の

小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子供あれば

行って看病してやり

西に疲れた母あれば

行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば

行ってこわがらなくてもいいといい

北に喧嘩や訴訟があれば

つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し

寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ

褒められもせず

苦にもされず

そういうものに

わたしは

なりたい

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11日未明からの豪雨で、メリーモントの周りもたいへんなことになってます。

12日の朝、外は雷雨、朝ごはんを食べていたら突然の停電。
そして学校からの連絡網で臨時休校とのこと。

でもうちにはテレビもないので周囲の状況はわからないまま、それほどの危機感はなく、暗い家の中ですごしてました。

そのうち、昼頃になって近所のおじさんやおばさんから阿蘇一帯で土砂崩れが多発していることを聞きました。
それに、メリーモントのすぐそばの道路でも土砂崩れがおきてよく知っているおじさんが車ごと埋まったと聞いてびっくり。でも強運の彼は車の中から携帯で連絡をとれた近所の仲間に助けられたそうでひと安心。写真は今日見に行ったその現場の様子。道路が土砂で全く通れませんでした。生えていた木もそのままに、まるで山が動いてそこに居座ってしまったかのうようでした。

停電は12日の夜になってようやく復旧。

実はこの日は長女の誕生日でした。
うちは日頃から電気に頼らない生活をしているので、予定どうりパーティーをおこないました。
薪ストーブでパンを焼き、梅シロップのジュースで乾杯し、本好きの娘にたくさんの本をプレゼントしました。

しかし、こんどは水道が断水。徐々に水圧が弱くなっていたので予感はしていたんですが、まったくでなくなってしまいました。昼間にその兆候はあったので20Lのタンクに飲料水は確保してあり、風呂桶にも残り湯がためてありました。

今住んでいる借家の水道は、数キロ離れた隣の部落の近くの沢からポンプアップして引いています。その水はいったん大きなタンクに貯水されて各戸へ分配されていきます。水圧が弱くなってきたということはなんらかの影響でポンプがやられてしまったことを意味します。

わたしは停電のせいだと思っていたのですが、停電が復旧してからさらに水圧が下がり水がとまってしまったのです。実はその取水地にあるポンプが土砂崩れで埋まってしまっていたのです。

夜が明けて今朝はやく、役場の水道課が農業用の大きなローリータンクに水を入れて給水に来てくれました。普段はけっこうのんびり仕事をなさっている印象の役場職員の方はこの数日は無休で頑張ってくれているようです。しかも再びの豪雨の中、さっそくに復旧工事を強行してくれて、夜にはふたたび水道が使えるようになりました。

これで現在はおよそいつもどおりの生活に戻ることができました。そして電気のおかげでこうしてブログのアップもできています。

ただ、多くのみなさんがご存知のように、熊本県内では河川の氾濫や土砂崩れによる事故が多発しています。二次災害の危険があり、思うようには動けませんが、自分になにができるか考えているところです。

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しつこいようですが、雨・雨・雨の毎日です。

晴れ間をみて屋根の仕上げを済ませてしまいたいのですが、どうにも太陽が顔を出しません。
今、屋根にはだいぶ前に施工したアスファルトルーフィングと、その上にごく一部のみ、ゴムルーフィングを施工してあります。アスファルトルーフィングはすでに劣化して、あちこちから雨漏りがしています。このゴムルーフィングは下地材ですが、材質はアスファルトのそれよりもはるかにいい物です。たとえタッカーや釘を使って上から穴をあけてもゴムの性質上、そこからは水漏れがしないようになっています。ですから、きちんと施工すればかなりの防水性が期待できます。

煙突を施工するにあたり、まずはこのゴムルーフィングを全面に張り、さらに防水シートを重ね張りしなくてはなりません。が、いつまでたっても雨が止まず、屋根の仕上げが終わりません。

エイドリアン君が担当している煙突のフレームはすでに最終段階。ほんとうは来週にでも屋根へ設置したいところなのですが、あとは神頼みしかありません。

さて、そんな雨つづきの中、私とタイチくんはついにロフトの床張り作業への段階に入りました。

ロフトの床を支えるのは丸太の梁。それが1mピッチで並んでいます。普通であれば、その上に根太(ねだ)という部材を打ち付けます。根太は梁よりも細かいピッチで打ち、上にくる床板をたわませずに支える役目をします。私の場合、この根太は省き、そのかわり梁に直接打ち付けてもたわまないくらいの厚めの床を張ります。

杉板の場合、1mの間隔を支えられる床の厚みは40mmといわれています。私はこれに近い35mmの板を使うことにしました。5mm薄い材にしたのは、ただ単に少しだけ安くあげたかったからです。

この杉板は、町内にある地元の製材所に頼んで割いてもらいました。
製材所では、地元阿蘇産の杉の丸太を市場で買い付け、ストックしてあります。

私がこの床板を注文しに行ったのは2週間前。すでに入梅して毎日雨が続いていた頃です。
本来、原木は秋~冬刈りの乾燥しているものがいいのです。春から夏にかけての木材は、水分を多く吸い上げており、乾きにくく、また、長期的にも虫がわいたり痛みやすいといわれています。

ですから、ちょっとタイミングは悪いなあと思いつつも、他の作業との兼ね合いで、床材の作業に入れるのがこの時期になってしったので仕方ありませんでした。そんな気持ちで製材所に足を運んで注文しに行ったところ、たまたま冬刈りの原木が少しストックが残っているというので、それを床板に割いてくれることになったのです。

そして先日、注文した130枚の板が到着。

今日からは、本格的にその板の加工に入りました。
製材所でスライスされた板は帯鋸(おびのこ)で切断しただけですから、面は粗いです。
それを自動かんなという機械にかけて面をきれいにし、かつ厚みを揃えていきます。

今日1日で5分の1ほどの材のかんながけがおわりました。
このかんながけが終わると、次には、実(さね)の加工に入ります。

時間はかかりますが、こんなふうに、素性の分かる地元の杉を使って可能な限り自分の手をかけて家を育てています。板の1枚1枚と向き合い、会話していると、そのひとつひとつが小さな自分のこどものような気もしてきます。その数え切れないほどたくさんのこどもたちが今、ひとつの形を成そうとしているのです。
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またまた登場のエイドリアンくん、なにやら真剣な顔をしています。

彼が見つめている大砲のようなもの、これは現在製作中の煙突のユニットです。
この鉄のフレームは屋根の上に突き出る部分になります。その中をストーブから続くパイプ型の煙突が入っています。パイプ煙突自体は日本のホンマ製作所の断熱二重煙突ですが、そのまわりの四角いフレームはすべてハンドメイド。部材はすべてホームセンターにあるものでそろいます。

絵本の中に出てくるサンタクロースは屋根に降り、この四角い煙突からすすだらけになっておうちに中に入りますね。でもこれは暖炉からのびる煙突のおはなし。現代的な暖房器具である薪ストーブは、オープン型の暖炉の代わりに鉄の箱の中で火を焚き、煙突は通常、このステンレス製のパイプ型のものが屋外にのびています。

ですから、シンプルな構造にするのであれば、このパイプをそのまま外に突き出せばいいのです。
わたしが作っているのは、そこにちょっと意匠をこらしたもの。四角い枠はレンガ調の外装でデコレーションし、見た目にはサンタクロースが入れそうな暖炉煙突風にいたします。これは見た目に素敵であるばかりではなくて、機能上にもメリットがあります。一番大きなメリットは、強度。屋根の上に吹きつける強風でも煙突本体がびくともしないガードになります。それに、屋根に生えた草が煙突の熱で焼けるのを防止するという目的もあります。

こうした煙突の施工は、通常、ストーブ専門店のお仕事です。
ストーブメーカーも、素人施工はあまりすすめていません。
それは、煙突屋根出しの場合はとくに、施工が難しいからです。
まずは雨仕舞い。屋根に煙突の通る大きな穴をあけるわけですから、そこから雨漏りがしないように何重もの対策を施します。さらに、防火対策。煙突の内部には数百℃の排煙が通ります。煙突が抜ける2階床や天井、屋根の取り合いは慎重にその隙間を計算し、しかも不燃性の断熱材で隙間を埋めるなどの専門的な知識と技術が必要です。

こうした施工は、まあ普通は業者に頼んでしまうのが妥当な線なのですが、専門業者に頼んでしまうようなところこそが私にとっては愉しみの凝縮した部分でもあるのです。そこへ足を踏み入れていくと、今まで知らなかった専門的な奥深い世界が広がってきます。

ストーブの熱をどれだけの温度を保って排煙させるのか
断熱二重煙突とシングル煙突の機能性の違い
金属板の厚さと耐久性の関係
外へ排出された煙と屋根を流れる気流の関係
断熱材の種類と健康への影響
雨じまいに必要な技術と現代的な建材の利用
フレーム製作に必要な溶接技術

などなど、数え上げればきりがないほどの面白みにあふれています。
これを面倒くさがらずに、ひとつひとつを理解しながら大きい間違いをしないようにステップをあがってモノをつくりあげていくことがものづくりの真髄なんですね。

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