cooking stand 1

滞在中のウーファーさん、エイドリアンくんがこんどはなにやら作っています。

ガスの火を鉄の丸棒にあてていますね。

実はこれ、私が彼に製作依頼した、クッキングスタンドなんです。
このクッキングスタンドというのは、薪ストーブの中で料理をする際に使うもので、熾き火の上にまたぐようにグリルパンなどを置くための台です。これまでは、五徳で代用していたんですが、その脚がどうしても熾き火となる薪の上に乗っかってしまっていました。

それを改善するには、熾き火に脚が極力かからないよう、ストーブの庫内いっぱいに脚を広げたサイズの専用スタンドを作るのが一番です。

このようなスタンドは、薪ストーブアクセサリーとして市販されてもいます。
FIRESIDEというストーブショップでは、オリジナルのクッキングスタンドを作っています。販売価格は1万円です。今回エイドリアンくんにお願いしたのは、私のオリジナルデザインで、脚の先をやや尖らせて、熾き火を掻き分けて設置しやすいように工夫してあります。

サイズは W280×D220×H110 と、市販品よりも若干大きめ。
脚の高さは熾き火からの距離、すなわち下火の強さを考慮します。このスタンドを使用する一番の目的は、手作りピザを最高の状態で焼けるようにするためのもの。ピザは下火ではなく、基本的には上火で焼くものです。温度は高ければ高いほどカリッと香ばしく焼けます。ですから、うちの薪ストーブで焼くときには最低1時間前からしっかりとストーブを熱し、初めの薪が燃え盛っているときに火持ちのいい広葉樹の硬い薪を投入。それもしっかりと燃やして、ピザを焼き始める10分ほど前に空気を絞って熾きの状態をつくります。庫内の温度は500~600℃ほどになっています。

それだけがんがんに熱い熾き火ですから、下火が猛烈に熱いわけです。そこへクッキングスタンドを置き、下火をブロックするための鉄板を上に置き、さらに高さ4センチほどの五徳を重ねておきます。そこへオーブントレイにのせたピザ生地を投入するわけです。こうすると、ピザの高さは庫内の上端から数センチになります。熾き火の熱は間接的に下から生地を焼き、同時に鉄板の両脇から舞い上がって上火となってチーズを溶かしてくれます。

生地からつくるこの手作りピザは家族全員の大好物。その日ばかりは飽食への罪悪感をおさえて食い倒れてしまいます。うまさへの飽くなき追求のために出来上がった逸品がこれ(↓)です。

cooking stand 2

メリーモントオリジナルクッキングスタンド
製作日数:1日。
製作費用:390円!(直径12mm×2mの丸棒1本)

脚を熱して曲げるためのガスバーナーを今回購入しましたが、それでも十分元はとれます。自作のクッキングスタンドのDIYをご希望の方、今ならエイドリアン先生の溶接講師料が無料で受けられます!丸棒を持って遊びにいらしてください。
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 この1週間はたエイドリアンとタイチくんのおかげでずいぶんと作業がすすみました。エイドリアンは煙突の鉄骨フレームを完成させ、タイチくんとわたしは、軒先の天窓の修復をしました。

 軒先の天窓は、ずいぶん前にガラスをはめてあったんですが、その5枚のガラスが順次、そしてすべてが割れてしまったのです。ガラスは35mm厚の屋根板に溝をつくり、そこに直接はめこんでありました。それが屋根板の収縮と反りによって部分的に突き上げられて割れてしまったのです。ガラスは古いアルミサッシから取り出してリユースしたもので、経年劣化によりわれやすくなっていたことも理由だと思います。

 その失敗を踏まえて、今度は5mm厚の新品の強化ガラスを購入しました。570mm×950mmが1枚あたり6000円と、安くはないですが、風雨にさらされる部分なのでこれなら大丈夫そうです。そのガラスを、こんどは3寸角の柱材で枠をつくってはめ込んだので、反りによる突き上げはなくなります。写真の中央、軒先に並んでいる5枚の天窓が取り付けた直後の様子です。相当ヘビーでしたが、3人がかりで木枠を引き上げて設置。そのあとガラスをはめました。これで屋根仕上げの1段階が終了です。

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 屋内部では、中央に階段の踊り場が完成しています。イギリス人ウーファーさんの設計に基づいて作ったものです。踊り場の床板は丸太の半割りを5枚使っています。それを支える6本の柱がぐるりとそれを囲んで立っています。左端に見える柱には縦に大きな洞(ほら)があいています。これは木が生長する過程で、なんらかの理由で傷がついた部分を木自身が修復しながら大きくなってきたからだと思われます。なかなか見られない独特な雰囲気をもつ1本だったので、どこかの部材に使いたいと思ってずっととっておきました。この柱の位置はダイニングに面し、南向き。大きな天窓からの陽射しがあたる部分ですので、この独創的な木がもっとも生かされるようになりました。

 これで主たる構造体は完成しましたので、床板張りの準備も整ってきました。昨日は製材所に2階の床板も注文してきて、着々と前進していますが、まだまだやることはてんこもり。大雨にも負けず、今日も作業にいそしみます。
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 エイドリアン君・26歳・オーストラリア人・職業:溶接工!!

 今ステイ中のウーファーさんです。先週ホストである私のところに申し込みがあり木曜日からさっそく泊まってくれています。彼の職業は溶接工。オーストラリアで10年ほどのキャリアの持ち主。自分の得意なことを活かしてお手伝いしたいという彼の希望をかなえるべく、タイムリーな作業がばっちりありました。

 それが「煙突製作」。ちょうどこれから屋根の仕上げ作業に入ろうとしていたところ。屋根はまだ下地であるアスファルトルーフィングがむき出しの状態。これから屋根構造の細部を仕上げていく段階にあるのですが、最大の難関がこの煙突部分です。煙突は屋根から四角くレンガ組みの雰囲気で立ち上げようと思っています。その四角い骨組み部分を鉄のフレームで作ろうということになりました。

 わたしの手元にある溶接機は家庭用のしかも一番安いやつ。これまで厚ものの溶接は少々てこずってきたので、煙突のように大きな構造物の溶接はわたしにはちょっと相手が大きすぎると感じていました。

 しかし、弘法筆を選ばずということわざのとおり、彼にかかると、同じ道具を使っているとは思えないほど見事な溶接です。感嘆したわれわれはその奥義を習得しようと、インスタント溶接教室をひらいてもらいました。メイン生徒は大工研修中のタイチくん。

 なんでも精力的に吸収しようとの心意気十分な彼ですが、着衣の準備まではしていなかったため、一発目のスパークが脚にとんで「アチチチッ!」

 っで、こんな格好に。ちょっとお恥ずかしい格好ですが、これでも一生懸命な姿に拍手!

fanny welder
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建築の進み具合に関する記事が最近少ないような気がしてます。
あまり目に見えた変化がないので(といってすすんでいない訳ではありません)ちょっとためこんでいます。

ログ積みの外壁がひと段落した今、とりかかっているのは室内中央階段の製作です。

階段の設計については、先日の記事に書いたように、イギリス人のウーファーさんにCGを使ってやってもらいました。今は、その設計をもとにして階段構造に必要な柱を立てて、階段の折り返し部分(踊り場)を先に作っています。

ここの踊り場はしっかりと加重を支えられる構造体にする必要があるため、床板を張る前の現段階で作る必要があります。階段のステップの部分は床板を施工した後に作ることにしています。

先日はこの踊り場の板を支える梁部の部材をつくりました。
これは角材を使うので、ホームセンターで購入してストックしてあった3寸(90mm)角材を使ってもよかったのですが、ダイニングからすぐ目に見える部分でもありますので、1辺をラウンドに残したくて(ちょっと意味わかりにくいですが)丸太から製材することにしました。

それがこの写真です。

最近、製材に使っている自作のチェンソー製材機の精度があがってきました。

以前はちょっとしたセッティングの狂いから、ねじれが出たり、厚みが均一にならなかったりしていました。それをかんなで修正して仕上げていましたが、面倒だった製材機全体のセッティングを完璧にやり直してから、その狂いがなくなりました。

それで、この3m・3寸角(1辺はラウンドのまま)の角材はほぼ完璧な仕上がりとなっています。

これくらいの精度で角材が作れるようになると、実際の建築や木工作業に使う材料を原木から難なく作り出せるようになります。まあ、角や板にしなくても腕と想像力次第ではログをそのまま使うことはできるわけですが、直線と面で構成されるもののほうが圧倒的に加工しやすいのですね。

阿蘇の山は昔と違って、今は杉だらけです。これまでもこのブログに何度か取り上げましたが、日本中の山が今おなじ問題を抱えています。日本の杉山は伐採と製材のコストが(海外に比べて相対的に)高くてなかなか利用されないでいます。人間が植えた人工林は放っておいても自然林にはならず、人間がしっかり手入れと利用を続けることで維持されます。もしも自分で伐採→搬出→製材ができれば、ローコストでその山が活かされます。

わたしが自主製材にこだわるのはそれが理由です。

わかるひとには分かってもらえるだろう、この角材の出来。
誤差1ミリ以内の3寸角材です。
阿蘇の山の未来が詰まった角材なのです。
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先月から、同じ町に住む友人のタイチくん(写真右のわたしに似た短髪の青年)が建築作業のお手伝いにきてくれています。今年中の完成に向けて作業を加速させるためにわたしから頼んだ助っ人さんです。彼は今年の3月に関東から家族で移住してきました。わたしよりずっと若いのに、小学6年生を筆頭にすでに3人のパパです。彼もこの阿蘇にきて、自分の家をいつか手作りしたいという夢をもっています。建築経験は皆無ですが、まじめで物覚えの筋がいいひとです。セルフビルドの技術を身につけたい彼にとってもここでのお手伝いはいい勉強となるということで、お互いの利益となっています。

これまでにも、基礎工事や柱立て、棟上げなどの大掛かりな作業のときには友人たちに声をかけて作業をお願いしてきました。そのときには決まって手によりをかけたランチパーティーでおもてなしというのがわたしのスタイルでした。お金でお礼をしたことはありません。それには、わたしなりの相互扶助的コミュニティーの理想があるからです。

その昔、アメリカ映画の「刑事ジョン・ブック 目撃者」という映画がありました。そのなかでは、ハリソン・フォード演じるジョンが正体を隠してアーミッシュの生活に入り込んでいきます。アーミッシュは移民当時の生活様式を守るために電気や自動車などの現代的機器を使用せず、近代以前の生活の中で自給自足を営んでいる保守的な宗教グループです。そのコミュニティーは深く相互扶助的関係で結ばれていて、この映画の中においてそれが象徴的に描かれているのが、家を建てるシーンです。彼らは誰かが住む家を必要としたとき、それをコミュニティーのみんなで力をあわせて作り上げるのです。映画では、棟上げのときに、何十人という男達がロープを引いて大きなおおきな家の骨格を立ち上げていました。そこには金銭的なやりとりはなく、誰かが助けを必要としているときにお互いを支えあって生きる大家族主義がそれにかわって存在していました。何十年も前に見たそのシーンがわたしにはとても印象的に残り、今となって考えると、それが今わたしが目指しているコミュニティーの理想形となっていたような気がします。

ですが、今回タイチくんにお手伝いをお願いするにあたり、彼も5人の家族を持つ身ですから、わたしはいくばくかのお礼はしなくてはと考えました。たくさんではないけれど、少しでも給料を支払うことで、なあなあではなく、お互いきっちりとした関係で仕事をすすめたいという思いもありました。

それはある意味でドライな関係、契約履行の関係を結ぶことでもあります。家の完成にむけて急ぎたいという思いがそうわたしに考えさせたのも事実です。

しかし、そのはなしを受けたタイチくんは、お金をうけとるということを断ってきました。彼が望んだのは、それこそわたしが理想としていた相互扶助の関係による助け合いでした。彼は貨幣というものが変えた現代社会の弊害についてわたしよりも深い洞察をもっていました。

今はお金があればどんなモノやサービスも手に入れることができます。家を建てる技術がなくたってお金を払えばそれを手にいれることができます。大勢の人手が必要な農作業だってする必要がなく、お店に行ってできあがった作物を買えば済みます。

そこには、信頼関係や相互扶助などの精神がなくても契約が成り立つ社会が生まれます。貨幣というものが仲立ちすることにより、それを生み出す人と、消費する(うける)人との関係がブラックボックスになっています。そうした社会は人と人との関係に拠るのではなく、利益主義、利己的な個人主義の横行する社会へと変容していきます。

生まれたときからこの貨幣社会に住んでいるわたしたちにとってはこれが当然あるべき社会の仕組みと考えていましたが、この映画のアーミッシュたちは、それとは合い異なるコミュニティーの姿を映し出していました。そして、今わたしとこの地域に住む数多くの仲間たちは、そんな古くて新しい社会を創りだそうとしています。

先週末には、タイチくんの娘たちも遊びながらお手伝いにも参加してくれました。
「こんな木の家に住みたーい!」と叫んでくれた彼らに、
「こんどきみたちのパパがおうちをつくるときにはお手伝いするからね」としっかり約束をしました。

カタチはないけれどお金よりも重くて確かなもの。そしてそこに人と人とのいちばん大切ものが隠されている。
家作りをしながら大切な学びをさせてもらっています。
そんな仲間に感謝感謝!