2017.03.21 タタリ神?
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先日、猪を頂きました。
今はまだ狩猟シーズンなので、知り合いのつてでこうやって仕留められた猪や鹿が回ってきます。
この日は一気に5頭。おそらく全部生後1年の若い猪です。

ハンターの多くは害獣駆除手当が目当てですので、証拠提出する尾だけを切断して役場へ持っていきます。残った身体は食されることは少なく、多くの場合はそのまま山野に放置されて自然に還ります。

走り回る獣を猟銃で仕留める場合は一気に5頭というのはありえないんですが、今回のこの子たちは箱罠にかかっていたんだそうです。箱罠というのはこんな感じの鉄柵でできたもの。

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中のエサ誘われて入るとシャッターが閉まって出られなくなります。相当頑丈にできているので、人を殺すほどの勢いのある猪が体当たりしても破壊することはできません。

箱罠の免許と猟銃の免許は異なるので、銃をもたなくても、より簡単な箱罠免許だけを取ってそれを仕掛け、かかった獣の処分は猟銃免許を持った知り合いのハンターにお願いするという方も多いようです。農家にとっては獣害から作物を守るのも死活問題ですからそれも仕方ありません。

そんなバックグラウンドがあり、今回の5頭がうちに来てくれた訳です。

解体には1頭およそ1時間を要しますので、近所に住む仲間の応援を呼びました。

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手前左は仲間の娘さん。2歳になりたてです。いのちのつながりをしっかりと見つめています。

その右がうちの末娘。4歳です。何度もこの光景を見ているので猪の姿からすでにおいしい食卓を想像しています。初めてお手伝いをお願いしました。

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すべての解体が終わったのは夕方5時過ぎ。
大仕事をみんなで終えて、その夜は手伝ってくれた仲間の家族も一緒に豪華な宴となりました。

メインメニューは焼き肉。

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サブメニューにひとくちカツ。

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まだ若い猪でしたので、そのどれも絶品!
屠殺からすぐの解体でしたので臭みもなく、肉はやわらかくてジューシー。みんな大喜びで、私もついつい食べ過ぎてしまいました。友人が持参してくれた有機ワインもすすみます。

ここまでは良かったのですが、その夜遅く……

ふと目が覚めると激しい頭痛。それにもだえること30分後、今度は激しい嘔吐。
これは脳卒中か?それとも食中毒か?と考える間もなく、嘔吐が終わった途端に今度は全身が痙攣し始めて座ってもいられなくなり、救急車にゆられて隣町の総合病院へ救急搬送となったのでした。

搬送中も酸素吸入が必要なほどの呼吸困難になり、まあ大変な騒ぎとなっておりました。
私は意識だけははっきりしていたんですが、なにせ苦しくて苦しくてもだえておりましたんで、周囲をよけいに心配させてしまいました。

全身の痙攣とそれに伴う呼吸困難は点滴や注射のおかげでほどなくしておさまりました。その治療と同時進行で頭の先から足の先まで種々の検査を行ったんですが、不思議なことにこれといって気になる原因がつかめず、お医者様も首をかしげながら、翌朝には自宅へ帰ってこられた次第です。

脳卒中に伴う嘔吐などであればMRIに映るはずですが、その所見はなし。
食中毒であれば、嘔吐と下痢がセットなんですが、今回は下痢もなく、造影剤まで入れた腹部CTにも血液検査にもそれを裏付ける所見が出て来ない。それに、この夜一緒に食事をした他の誰もがまったく問題なくピンピンしている。
最終的に、お医者様から消去法で最終的にいただいた診断は「(ストレスによる)胃けいれん疑い」でした。

これが西洋医学の答えなんですが、この一件を聞いた隣人は「◯◯さんの悪いエネルギーを受けたんじゃないの?」という精神世界的な意見。私としてはあんまり人の悪い影響を受けるというようには考えたくはありませんし、実際そんな感じは受けてないのでしっくりきません。

猪の解体をした日のことからずっと振り返ってみますと、私としては、これは猪の念が起こしたんじゃないかと思ってます。これまで何度も頂いた獣を解体して食べてきてなんともなかったのですが、今回は初めて罠にかかったものでした。罠にかかった猪は不安と恐怖にかられて暴れ回ったはずです。そして数時間か数日間もその中でもだえ苦しんだに違いありません。そして最後には人間が銃を持って現れ、絶望と怒りの中で最期を迎えたのでしょう。

それを想像すると、その念が身体に残っていても不思議ではありません。
もののけ姫に出て来る「タタリ神」がまさしくそうでした。

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住む森を犯された挙げ句、命を守るために戦いを挑んだ人間に仲間が皆殺しにされ、自らも鉄の弾をくらい、肉体が滅んでもその念だけで走り続けたあの猪です。そのタタリ神は死ぬ直前、アシタカに襲いかかり、その念をアシタカの身体に残して倒れました。アシタカはそのあと謎解きの旅にでて、最後には森と人との調和をもたらすことになるのです。言葉を変えれば、アシタカはその偉大なる役割を担える者として選ばれたとも言えます。

うん、そう考えると自分にだけ起こった異変は猪の念であるし、その念をキャッチできたということはある意味、なにか大切な役割をこれから担うよう選ばれたのかもしれない…。
医学的に「ストレスによる胃けいれん」といわれたところの、「ストレス」というのが、自分自身のストレスではなく、その猪が抱えていた死に直面した恐怖=ストレスであればそれも納得がいきます。

あんまり仰々しく考えたくもありませんが、この騒動はなにかこれから自分がすすむべき道の光明になるかもしれない、と思わせてくれる事件でした。ありがたや。

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2月はバレンタインデーの月でした。

調べてみると、2月14日というのはその昔、ローマ帝国時代において女神「ユノ」の祝日だったそうです。そのユノというのが、家庭と結婚の神様なんだそうです。その祝日がキリスト教の司祭である聖Valentineの名前からバレンタインデーと呼ばれるようになったのにはローマ帝国の歴史そのものが大きく絡んでいます。
Valentine司祭はローマ軍の兵士たちが兵役のために結婚を許されなかったのを可哀想に思って、彼らの結婚式を皇帝に背いて執り行ったことで死刑となった人です。そこから、彼が恋人たちの守護聖人とされるようになったと言われています。
それが今から1700年ほど前の出来事です。日本にその文化が入ってきたのは戦後のこと。流通業界やチョコレート業界が儲けるために編み出した戦略で「女性が男性に」と「チョコレート」という日本独自のスタイルが生まれたわけです。

毎年、我が家でもこのバレンタインデーに絡んでちょっとしたパーティーを開きます。近所でいつもお世話になっているお友達の誕生日がとても近いので、そのバースデーパーティーを同時開催しているんです。

今年のパーティーのメニューは「オープンサンド」でした。
パンはもちろん手作り。
中に挟む具材もいろいろ用意します。そのメインとなったのが「手作りベーコン」

というわけで、冒頭の写真が準備された状態の豚のバラ肉です。
猪が捕れたときにはその肉を使うんですが、今回はタイミング良く手に入らなかったのでスーパーで買った普通の国産豚を使いました。
まずは前々日から塩漬け。肉料理大好きの次男と一緒に仕込みました。1日塩漬けしたあとに1日外に吊るして風乾。しかし予想どうりこの寒さでカチコチに凍ってしまい、乾燥できませんでした。そこで最後はキッチンストーブの上に吊るして水分を抜いている、という図です。

次にはもういきなり燻製にいきます。我が家には立派な燻製器があるんですが、この寒さと雪の中、屋外で火をおこすのは酷なので今回は思い切った裏技に挑戦することにしました。

それがチムニースモーク

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ここは家の屋根の上です。滑落の危険の中、次男と這い上がってきました。次男のリュックサックには仕込み終えたバラ肉が入っています。

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煙突のトップを開けてみると案の定、煤だらけ。とりあえず煙突の内側だけちょっとこすり落してから周りに触れないように慎重にその中へ吊るします。温度管理のために温度計も一緒に。そしてトップを戻してセット完了。

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屋根から下りる前、ついでに煙突のすぐそばにあるのソーラーパネルの除雪。これ、雪の日にはとても大事な仕事です。いつもは私が日に何度もやってますが、この日は次男に初体験してもらいました。

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さて、無事に屋根から下りてきたあと、いよいよスモーク開始。普段家の暖房に使っているヨツールのF3が、この日はスモーカーとなります。中にはすでに適量の熾き火があります。その上に切ってきたばかりのヒノキの生葉。乾燥した燻製用チップなんか使いません。水分の多い生木や生葉はヤニや煤が多くでると言われますが、あんまり気にしません。それどころか、ヒノキ特有のちょっとシトラスっぽいとってもいい香りになるのでうちではもっぱらこれです。

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1時間半経過。温度計を見ると60度でしたので、たぶん中にはまだ熱が通り切っていないでしょう。65〜70度で3時間というのが目安ですから。でも家の中ではすでにパーティーの支度が完了して、このベーコンの登場だけを待っている状態でしたからこれでよし!

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肉好き次男のなんとも幸せそうな笑顔。

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切ってみるとやはり火の通りがもうひとつ。でも香りはばっちりの様子。
ですので最後はフライパンでさっと炒めてベーコンステーキにしました。

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真っ白な雪の日の今年のバレンタインデー。とっても素敵な手作りパーティーの主役となりました。
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ベッドルームの内壁です。
部屋の外側は私の得意な板壁にしたんですが、部屋の内側は左官仕上げにしようと思っていました。
しかし実はこれ、私の苦手な分野なんです。モルタルやコンクリートなんかはそれなりに経験ありますが、漆喰系は初めてのこと。そこで近くに引っ越して来た頼りになる友人にヘルプを頼んでいたところ、なんとさらに2名の強力助っ人を連れて現れてくれたのでした!

彼ら3人はプロの職人ではありませんけど、その腕前はまさにセミプロ、スーパー素人でした!
塗った壁の面積は2畳ほどでしたが、塗りやすいとは言えない形の壁面でしたので一人であれば1日仕事でした。ところが塗り始めてみればあれよあれよと、ものの1時間ほどで塗り終えてしまいました。

この御三方はもともと関東でのお仲間で、気心の知れた間でしたので、この日の作業もほのぼのわいわい、でもやるときゃ真剣にととってもいい時間をすごしてくれました。

この日に使用した左官材料は友人の得意とするチープな裏技でいくことにしました。
テイストとしては漆喰調ですが、もう少し凹凸のあるソフトな表面仕上げにしたいと思っていました。

漆喰の主成分は石灰で、それに砂、水、海藻糊、そしてつなぎに麻すさを入れたものが古来のシンプルなものです。

今はすでにそれらすべてが配合されたプレミックスの漆喰がパッケージされて売られています。

今回の裏技は、それを踏まえたチープオリジナルバージョンです。
まず、石灰として、農業資材としてどこのホームセンターでも売られている「消石灰」と、牡蠣殻灰である「有機石灰」、これを同量ずつまぜます。それに海藻糊の代用としてメチルセルロースなるものの粉末を混ぜます。これは塗料用の増粘材として一般に販売されているものですが、それなりにマニアックなお店にいかないと手に入りません。そして、つなぎとして使おうと思いついたのが「木屑」です。うちの作業場にはいつも木工作業しているので様々な木屑が体積しているんですが、その中でも、自動カンナで出る大量の木屑がちょうど大きさや薄さが良さそうでしたのでぜひこれを使いたいと思っていました。

しかし集まってくれたこの御三方とも木屑ミックスの壁材の経験はありませんでした。けれど、だからこそみんな興味をかき立てられてわくわくしながら初めての木屑ミックス漆喰にチャレンジしたわけなんです。

実際に塗ってみると木屑のおかげで結構厚みが出て、しかも表面は希望どうりのソフトな風合いになりました。塗り心地も良く、作業自体もスムーズに行ったのが意外なほどでした。

これが塗り終えたばかりの壁全体。(写真をクリックすると大きく見れます)

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電球色のLED照明のせいで黄色がかった色合いに見えますが、実際は薄いグレーがかった白色です。グレーは牡蠣灰の色ですね。混ぜ込んだ木屑は杉なので、もしかして時間が経てばうっすらとそこから木の色が出て来るかもしれません。時間の経過とともに色合いが変化していくのも左官壁の面白いところなんですよね。

近くで見るとこんな風に凹凸があります。

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増粘材のおかげか、塗り終えて1時間もすれば早くも硬化して表面は触れるようになります。しかしまだ水分を多分に含んでいるのでしっとり感はあります。木屑もその大きさによって表面のテイストが随分変わるでしょうから、興味のある方はいろいろ試してみられると面白いと思いますよ。

なお、今回使用した材料は消石灰10kg、有機石灰10kg、マーポローズ(メチルセルロース)45g×2、木屑適量、水。コストはしめて約1000円也!
2017.02.10 雪化粧
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日本中が寒波に包まれています。
昨日の早朝、カーテンを開けると外はこんな雪景色。
庭先の大小さまざまな木の枝という枝がすべて銀白に包まれて、荘厳でした。

この時期には夜中も火を絶やすことのない薪ストーブのおかげで、それでも家の中はあたたかです。

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そんな雪の日には家の中でのお仕事。
今とりかかっているのは大人のベッドルーム。

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二階のロフトの一角に壁を作っています。
材木はメリーモントで育ったヒノキ。一昨年に伐採して乾燥させておいたものを自家用製材機で製材しました。やはりヒノキは格別です。立木を見ると、杉とヒノキは同じ針葉樹なので区別が難しいほどですが、中身はまったく別物です。製材するとそれがよくわかります。のこぎりの刃が容易に入っていかないほど目がつまっていて、粘り気があります。

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こうした梁に使うには最適です。
それに香り。鋸屑は捨てるにはもったいないような自然のアロマです。
これで作ったベッドルームでは素敵な夢が見れそうです。

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なにやら楽しげにひとりで作業しております。
今日は我が家1年分の味噌を仕込む大仕事の日!のはずなんですが、この笑顔。

その秘密はそばに力強い相棒(私ではなく)がいるからなんです。
アップの写真を取り忘れてしまいましたが、それが「みそいち」君。350Wのモーターで動くすごい働きものです。今日はラッキーなことに天気もよくてソーラーパネルの発電量もマックスでしたので気持ちよくみそいち君も動いてくれました。

かねては手作りの木の臼に茹でた大豆をいれて家族総出でこね回していたこともありましたが、近年は機械の便利さに完敗。基本的には面倒なことの嫌いな妻もこのおかげで「今年はひとりでやってみたい」と言い出したほど。

その裏には、この味噌づくりに使う大切な大豆を分けて頂いた知り合いのおばあちゃんの存在もあります。そのおばあちゃんは長いことずっと、みさを大豆というわが高森町でしか栽培されていない貴重な大豆を育てていらっしゃいました。縁あってその大豆を分けていただけるようになり、今年もその貴重な大豆を使っております。

さらに、麹は我が家でとれた自家製のお米を原料にしています。普通は白米を麹にするんですが、より玄米に近い配合にしたくて、4分づきに精米したものを地元の小さな麹屋さんにお願いして麹にしてもらいました。

主な原料がみんな作り手の顔が見えて心を感じられるものですから、仕込むのもまた愉しみであります。

これがその特製麹と幻のみさを大豆を混ぜたものです。

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それをみそいち君のホッパーに入れていきますと

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どんどん吸い込みながらネリネリしてくれて、下からにょろにょろと羊羹のようになって出てきます。

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このみそいち君は、大豆をつぶすだけではなくて、同時に全ての材料を上手に混ぜ合わせてくれるので、あとはこれを味噌瓶に押し込んでいくだけなのです。

みさを大豆はとても硬い品種なので、やわらかく煮えるまで2日間かかりますが、その後はこのみそいち君のおかげで1時間もあれば1年分の仕込みが終わってしまいます。
冬はその寒さのおかげでいろんな保存食がおいしく作れる楽しい季節でもあります。年々、そんな愉しみがひとつずつ増えていくのもまたうれしいことです。

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